新築時や前回の外壁塗装リフォームから時間が経過すると、徐々に外壁の損傷や劣化も酷くなってきます。
そうなりますと
「外壁塗装をしたいけど、タイミングがわからない」
「今の外壁や塗料って、あとどのくらいの年数もつの?」
といった疑問も出てくるかと思います。
そこで、本記事では外壁塗装を検討している方のために、塗料の塗り替えの時期や外壁材自体の耐用年数に関して説明していきます。
外壁塗装は塗料の種類で耐用年数が異なる
外壁塗料の種類には様々なものがありますが、耐久性のあるものを選ばないと、
すぐに塗り替えや補修が必要になってしまうという点は共通しています。
そのため、まずは塗料にどのような種類があるのか、
そして塗料の種類ごとに、耐用年数や特徴を見ていきたいと思います。
外壁塗装の塗料での選び方のポイントも併せてご覧ください。
① アクリル塗料 耐用年数:3年~7年程度
アクリル塗料はアクリル樹脂を主成分とする塗料です。
発色の良い画期的な塗料として、以前は人気を集め広く普及しました。
安価に購入できる点や、カラーバリエーションが豊富な点も人気で、
さらにはDIYなどでも使いやすいという特徴があります。
しかし、紫外線による劣化が早く進んでしまいますので、耐久性も低く
頻繁な塗り替えが必要になってしまいます。
そのため、一般住宅などで使用することはあまりおすすめしません。
すぐに取り壊す予定の倉庫や建物などに使用すると良いでしょう。
② ウレタン塗料 耐用年数:5年~10年程度
ウレタン塗料は柔軟性が高く、木から金属まで様々な場所に施工できるメリットや、
光沢を良くして艶のある仕上がりにしたい方におすすめです。
ただし、現在主流であるシリコン塗料との価格差が小さくなったことから、
耐用年数で比較するとシリコン塗料の方が優れていると言えます。
また、シリコン塗料に比べて、汚れがつきやすいため注意しましょう。
③ シリコン塗料 耐用年数:7年〜15年程度
シリコン樹脂塗料は耐用年数・費用ともに標準的な塗料で、汚れが落ちやすい、
艶が映える、燃えにくい、紫外線による劣化に強いといった特徴があります。
他の塗料と比べてコストパフォーマンス良く、性能のバランスも優れています。
ただし、「金額が多少高くなっても、工事回数を少なく抑えたい」という場合には、
シリコン塗料よりグレードの高い塗料の方が良いでしょう。
シリコン塗料は他の塗料に比べて、ひび割れが起きやすいというデメリットがあるためです。
また、シリコン塗料の中にも様々な種類の塗料がありますので、性能や耐用年数も しっかりと確認した上で、最適な外壁塗料を選びましょう。
④ ラジカル制御型塗料 耐用年数:12年〜15年程度
ラジカル制御型塗料はシリコンよりも耐用年数・費用対効果が優れており、
さらには塗料自体も高性能であるのが特徴です。
具体的に言うと、ラジカル制御型塗料は紫外線や雨風に当たっても、
本来普通の塗料であれば発生する劣化因子(=ラジカル)が発生しません。
そのため、劣化のスピードが遅く、高耐久でチョーキングも抑制し、
ひび割れや水漏れの発生も低減してくれる機能があるのです。
さらには、高光沢で汚れが付きにくい低汚染性という特徴もあります。
ただし、ラジカル制御型塗料は近年開発された塗料で、施工実績も少ないことから、
扱っている業者が少ないというデメリットもありますので注意しましょう。
⑤ ナノテクノロジー塗料 耐用年数:12年〜15年程度
ナノテク塗料はナノテクノロジーを応用した水性塗料です。
塗料に含まれる樹脂の量が少ないため、二酸化炭素の排出を抑えることができます。
低汚染、長寿命に加え、ナノテクノロジーにより表面を汚れにくくしています。</span>
デメリットとしては、ラジカル塗料同様に実績が少ないため、製造しているメーカーが限られる、
比較的費用が高額であるという面があります。
⑥ フッ素塗料 耐用年数:12年〜20年程度
フッ素樹脂塗料は高価ですが、耐候性や耐用年数が長い特徴があります。
そのため、従来は頻繁に塗り替えができないビルやマンションなどに利用されてきました。
しかしながら、現在ではその耐久性の高さが注目され、一般住宅においても
長期に渡り住まいを大切に守りたいという要望から使用されるようになりました。
その他にもフッ素塗料は長期間風雨に晒されても家を守る防水性、
さらにはカビや藻から住宅を守る防カビ・防藻性が付された塗料が多いのが特徴です。
ただし、フッ素塗料は光沢のあるツヤあり塗料しか選べないので、
マットな艶消し仕上げを希望する方には不向きな塗料です。
⑦ 無機塗料 耐用年数:20〜30年程度
無機塗料は有機物を含まず、鉱物やレンガ、ガラスなどの無機物(炭素を含まないもの)を配合して作られた塗料です。
塗装のプロがおすすめする塗料の種類も併せてご覧ください。
外壁材別の耐用年数や特徴について
外壁塗料には様々な種類があり、それぞれ耐用年数や特徴が違うことが分かりました。
しかし、外壁塗装がどの程度もつか知るためには、外壁材自体のおおよその耐用年数、
そして特徴についても知らなければなりません。
それは同じグレードの塗料でも、塗装する外壁材によって相性が異なり、
メンテナンスの時期も変化してくるためです。
そこで、本項では各外壁材別での塗装メンテナンス時期と、適切な塗装を定期的に
行っていた場合の外壁材自体の耐用年数についても解説していきます。
① 窯業系サイディングボード メンテナンス時期:8〜10年ごと 耐用年数:約20~25年
近年では最も普及し一般的となっているサイディングボードです。
様々なデザインがありますので、好きなカラーや模様などを選ぶことができ、
意匠性を高めたい方には特に好まれる外壁材の一種です。
しかしながら、防水性の面ではそれほど高くなく、ボード間の目地部分に
施工されているシーリングは傷みやすいため、メンテナンスを行う必要があります。
② 金属系サイディング メンテナンス時期:10~15年ごと 耐用年数:約20〜30年
金属サイディングの大きな利点としては非常に軽量で、かつ耐久性もあり断熱性も高いという点があります。
特に重さの点では、窯業系サイディングのおよそ4分の1程度しかありません。
外壁材の重さは建物への負担に直結しますので、建物への負荷が軽減され、
その分耐震性の面でも期待できるメリットがあります。
ただし、金属の場合にはサビの劣化や温度変化の影響を受けやすいデメリットもあります。
さらには、衝撃で形状が変わってしまうこともありますので注意しましょう。
③ 木質系サイディング メンテナンス時期:7~10年ごと 耐用年数:約15〜25年
木質系サイディングは木の温もり感や風合いを出したデザインのサイディングです。
デザインは印象的で意匠性も高いですが、木材ですので耐火性の面では難点があります。
また、水にも弱く腐食が起こりやすいというデメリットもありますので要注意です。
メンテナンスに関しては、木質系サイディングは定期的に塗装などでメンテナンスが必要です。
塗装はクリヤーによる塗装などで行うことが多いです。
④ 樹脂系サイディング メンテナンス時期:10~18年ごと 耐用年数:約20〜30年
樹脂系サイディングは、耐久性が高く、防水面でも優れているのが特徴です。
また、衝撃や気温変化にも強いため、耐用年数が高いメリットがあります。
メンテナンスもそれほど行う必要がなく、補修費用なども節減できる点や、
素材自体が軽量である点が選ぶ利点となるでしょう。
ただし、デザイン面では色や模様のパターンがそれほどないため、国内での普及率は低くなっています。
そのため、メンテナンスができる業者を探すのが一苦労というデメリットもあります。
⑤ コンクリート メンテナンス時期:12~20年ごと 耐用年数:約50〜100年
コンクリートは、耐久性が高く頑丈で、地震に対しても強いのが特徴です。
また、断熱性能も高いため夏場の暑さや冬場の寒さ対策にも良いです。
デザインも豊富にありますので、意匠性にこだわりたい方にも良いでしょう。
耐用年数に関してはかなり長くなっていますが、一方でひび割れは起こしやすく、
メンテナンスは定期的に行わなければなりませんのでご注意ください。
⑥ モルタル メンテナンス時期:8~10年ごと 耐用年数:約20〜30年
モルタル外壁は不燃性でデザインのパターンも多く人気があったため、
多くの住宅で需要があり外壁材として取り入れられてきました。
主材料としてセメントと砂、そして水を使用しているのが特徴で、
好みに応じて模様なども変えられる点がメリットとしてあります。
ただし、デメリットとしてはひび割れを起こしやすいため、定期的にこちらも補修をする必要があります。
防水性が落ちますとひび割れしやすいので、塗装は行っていきましょう。
⑦ タイル メンテナンス時期:8年~10年 耐用年数:約30~40年
タイル外壁は特徴としてその耐久性の高さが挙げられます。
タイル自体は頑丈ですので、傷も付きにくくメンテナンスは不要になります。
ただし、タイル間の目地部分やタイルが貼り付けられている下地は劣化します。
そのため、おおよそ8~10年程度を目安に点検やメンテナンスを行うと良いでしょう。
タイルは塗装の必要はありませんが、しっかりと接着していないと剥がれ落ち、
人に当たって事故などが起きるケースもありますので注意しましょう。
⑧ ALC メンテナンス時期:10~15年 耐用年数:約50~60年
ALCパネルの外壁材は主な原料がコンクリートですので、こちらも断熱性や耐火性が高く、耐用年数が長いのが特徴です。
また、軽量気泡コンクリートという外壁材を使用していますので、
重量は通常のコンクリートに比べ4分の1程度である点がメリットです。
軽量ですので建物への負担も少なく、耐震性が高い点も好評です。
ただし、ALCは無数の気泡がある外壁材ですので、水が染み込みやすく、
剥落や欠損などの不具合を起こしやすいデメリットもあります。
そのため、こちらも10年程度を目安に塗装を行う方が良いでしょう。
以上、外壁材別でのメンテナンス時期と耐用年数の説明でした。
外壁材の耐用年数はあくまでも定期的な塗装メンテナンスをしっかりと行っていた場合のものになります。
そのため、もし塗装を行っていなかった場合などには、上記の耐用年数よりも外壁材の寿命は短くなりますので注意しましょう。
塗装の塗り替え時期の目安を知りたい方は下記も併せてご覧ください。
外壁塗装の耐用年数を長くするためのポイント
最後に、外壁塗装の耐用年数をより長くするためのポイントもお話していきます。
様々な工夫によって耐用年数は長くできますので、参考にしてみて下さい。
●状況にあった塗料選び
外壁塗装は環境によって最適な塗料が異なります。
日差しが強い地域では遮熱性が強い塗料が良く、降雨量が多い地域では
防水性が強い塗料がおすすめです。しっかりと地域に合った塗料を選びましょう。
●塗布の回数は必ず3回以上
塗布の回数は多いほうが良いのですが、安さを売りにしている悪徳業者は塗布の回数を1、2回しか行わないケースもあります。
そのため、塗装は必ず下塗り、中塗り、上塗りの三回の塗布で行いましょう。
●メンテナンスをする
外壁にひび割れやカビ、その他の傷みや劣化がないか定期的に確かめましょう。
軽微な劣化の段階で塗装などのメンテナンスを行えば、外壁が機能を失う前に
補修ができますので、外壁材の耐用年数も長くもちます。
逆に、外壁塗装が効果を発揮していない状態のまま放置しておくと、
外壁が機能を失い家全体の機能を低下させてしまいます。
そのため、定期的な塗装のメンテナンスは必ず行いましょう。
塗り替え時期は塗料と外壁材の両方から判断すべき!
以上、外壁塗料の耐用年数、そして外壁材の耐用年数を中心に解説しました。
外壁塗料の種類は数多くあり、それぞれ耐用年数及び特徴が異なり、
各塗料の性質に応じて使い方や塗り替え時期は判断する必要があります。
また、併せて外壁材の状態や性質も考慮して、塗装の時期は考えるべきですので、
外壁塗装の際には、ぜひ様々な施工業者に相談してリフォームを決めてみて下さい。